タイトル | : コラム#1692(未公開)のポイント |
記事No | : 166 |
投稿日 | : 2007/03/15(Thu) 16:59 |
投稿者 | : 太田述正 |
<太田> コラム#1692「日本人のアングロサクソン論(その3)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
これから先は、学者ではなく、金融界の第一線で活躍してこられたお二人のアングロサクソン論についてです。・・
まず、有澤沙徒志『日本人はウォール街の狼たちに学べ』中経出版1998年 から。
「とにかくアメリカ人が「これだけは絶対にしっかりヤル」というのが休暇である。・・新年早々の仕事始めというと、ウォール街ではどこの職場もやることは皆同じ。何よりも大切な休暇の<年間>予定表づくりである。」
→この点も、有事即応の在日米軍であれ、「常に平時」の自衛隊であれ、同じです。 在日米軍も自衛隊も、有給休暇はばっちりとります。 もちろん、本当の有事のただ中にある在イラク米軍もそうです。せっかくうまくやっていたペトラユースの陸軍部隊を本国で休ませて交替で休暇をとらせるためにイラクから引き揚げて別の陸軍部隊を送り込んだために、すべてを台無しにしてしまった話をした(コラム#1641)ことを覚えておられるでしょう。 命をやりとりする軍隊は本来こうでなくてはいけません。 日本の旧軍、特に帝国陸軍はそうではありませんでしたが・・。
次に、高木哲也『日本とアメリカのビジネスはどこが違うか』草思社1999年 です。
・・「アメリカ企業・・は、・・執務規定<と>・・「職務記述書」<という、>・・個々の従業員が担当する一つひとつの仕事について、その職務の目的と輪郭、責任範囲、権限、社内外の人びととの関係、評価項目とその内容、必要な技能などを明文化したもの<を定める。また、>アメリカ企業に<は>執務・職務のマニュアル化が浸透<している。>・・<そ>の背後には、「仕事とは個人と会社との契約関係」ととらえるアメリカ人に共通した企業観、職業観がある。」
→最後のオチの部分はともかくとして、基本的にはこれらも軍隊の特性です。 軍隊の場合、職務記述書に該当するものはありませんが、職種ごとに階級に応じて「その職務の目的と輪郭、責任範囲、権限、社内外の人びととの関係、評価項目とその内容、必要な技能など」が明確に「明文化」されています。しかも軍隊は徹底したマニュアルの世界です。 どうしてそうなるかは、考えてみれば当たり前であって、有事においてはアトランダムに戦闘損耗が発生し、その都度当該部隊に関しては全くの新参者が速やかにその穴を埋める必要があり、その新参者にオンザジョッブトレーニングを施し「暗黙知」を共有させる時間的猶与などないからです。
「アメリカ企業の従業員は大別すると、「エグゼンプト」と「ノン・エグゼンブト」とに分けられる。エグゼンプト・・は「タイムカード」を推すことを免除されている「月給制社員」を、後者は「タイムカード」を押さければならない「時間給で、残業や休日出勤の手当もつく人」のことだ。」
→軍人には超過勤務手当の概念はなじまないが、エグゼンプトとノン・エグゼンプトの区別は将校と下士官の区別に対応していると見ることができます。兵卒は、パートタイマーといったところです。
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