タイトル | : コラム#1693(未公開)のポイント |
記事No | : 172 |
投稿日 | : 2007/03/16(Fri) 21:16 |
投稿者 | : 太田述正 |
コラム#1693「北朝鮮をいたぶる米国」のさわりの部分をご紹介しておきます。
2月13日の6か国合意の第一弾、ヨンビョン・・の核施設の閉鎖を北朝鮮が約束通り60日以内に実行するかどうかは、米国が北朝鮮に対して2005年9月に事実上科した金融制裁を解除するかどうかにかかっているのですが、米国は、猫がネズミをいたぶるように北朝鮮をいたぶっているとしか思えません。
いたぶりのその1<です。> 米国は、・・3月・・14日に、・・リービ・・米財務・・次官・・がBDAに対する措置を発表しました。・・その内容は、米国の銀行のBDAとの取引を正式に禁止する一方、凍結されている北朝鮮の銀行口座の取り扱いはマカオ当局にゆだねる、というものでした。 ・・この発表を受けて、凍結されている北朝鮮の口座をどうするかは、マカオ当局が中共当局の指示をあおぎつつ、決めることになりますが、・・中共当局は悩ましい立場に置かれています。 簡単に全面解除してしまうと、中共当局が、国際金融面での違法行為に甘いという非難を国際的に浴びる懼れがあるからです。 ・・しかも、仮に全面解除になったとしても、米国政府としては、事実上世界中の銀行が、米国に気兼ねして北朝鮮との取引を自粛している現状を解消すべく、「自粛する必要はない」といった明確なシグナルを発するつもりは全くなさそうです。 つまり、北朝鮮が国際的な取引を行うことが極度に制約されている現状は、そのまま維持されることになりそうなのです。 北朝鮮がこれに目をつぶり、2,500万ドル、悪くするとその一部を返してもらっただけで核施設の閉鎖に踏み切るかどうか、これは見物だと言わざるをえません。・・
いたぶりのその2<です。> 事業費が北朝鮮で不正に流用されているとの1月の米国の指摘・・を踏まえ、国連開発計画(UNDP)は1月、外貨による事業決済や北朝鮮当局による地元要員採用中止を、新規事業承認や積み残し事業継続の条件とすることを決めたのですが、北朝鮮側がこれらの条件を履行しないため、3月5日、人道分野を含めたすべての対北朝鮮事業を1日で停止したと発表しました。 ・・UNDPの2007〜09年分の新規事業は既に凍結されており、今回の決定で05〜06年分の積み残し事業・・の執行が中断され、これで凍結された総額は1790万米ドルになりました。 ・・つまり米国は、金融「制裁」解除で北朝鮮に戻されるであろう金額に見合う金額を、別途あらかじめ凍結するのに成功したことになります。 ・・さあ、米国と北朝鮮の一体どちらが追いつめられているのでしょう? お答えするまでもありませんね。
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