コラム#1717「慰安婦問題の「理論的」考察(番外編)(続)」のさわりの部分をご紹介しておきます。
1 始めに
もう少し、視野を広げて慰安婦問題にアプローチしてみましょう。
2 日本人人身売買の歴史
(1)全般
・・ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B4%E9%9A%B7 ・・
(2)戦国時代末期の人身売買
・・武田信玄・・は侵略地の男女を価格2貫から6貫で売り飛ばした。・・わずか人一人約4万円から12万円という安さだったことになる・・。 他方、・・80人もの女性を誘拐し、堺で売っていた女性の人売りが、織田信長・・配下の所司代によって成敗された、という話が載っている・・。 ・・信玄と信長の違いがうかがえて興味深い。
(3)キリシタンによる日本人奴隷貿易
・・キリシタン大名、小名、豪族たちが、火薬がほしいぱかりに女たち・・数十万人<を>・・を南蛮船に・・に連れこんで海外で売りさばいた・・。
・・1587年・・に豊臣秀吉が「バテレン追放令」を発出し、その国内向けとみられる法令中で、日本人を南蛮に売り渡す(奴隷売買)ことを禁止している。ここから、バテレン船で現実に九州地方の人々が外国に奴隷として売られていたことが分かる・・。
3 先の大戦中の日本による支那人の強制労働
「第二次大戦中に中国から強制連行され労働を強いられた・・原告らは一九四四年から四五年にかけて、日本軍に強制連行された。麻袋に穴を開けただけの服を着せられ、氷点下の新潟港ではだしで強制労働させられ<、その結果、>新潟港では九百一人が連行され<たところ>、栄養失調や暴行などにより百五十九人が死亡した<と主張>・・として、中国人男性・・と<そ>の遺族・・が、国と<企業>に・・損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が東京高裁であった。・・。 ・・裁判長は「国は日本軍の協力で、中国人を暴力などで拘束し国策で強制連行した。企業も劣悪な環境で暴力も用いて過酷な労働を強制した」と不法行為を認定。 しかし、国家賠償法制定以前の不法行為に、国は損害賠償<責任>を負わないとする「国家無答責」<の法理>を適用し、国に賠償責任はないとした。さらに国と企業の不法行為に対する賠償請求権は、除斥期間(二十年)を過ぎて権利が消滅したと述べた。 企業の安全配慮義務違反についても認めたものの、義務違反に基づく賠償請求権は時効(十年)で消滅したとした。」 ・・
3 コメント
以上から、日本では、江戸時代以降、保護者ないしは本人の同意なき人身売買・・強制連行(拉致)・・は厳しく禁じられてきた一方で、保護者ないしは本人の同意に基づく年季奉公・・その一環として娘の身売りがあった・・は、法的に、もしくは事実上認められてきたことが分かります。 また、先の大戦中の支那人の強制労働問題と慰安婦問題は、どちらも官憲が関与していた点では同じですが、強制連行の有無と処遇の良否において、大きく異なっていたことが分かります。 慰安婦問題は、このような視点をも加味しつつ、検証がなされるべきでしょう。
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