タイトル | : コラム#1755(未公開)のポイント |
記事No | : 366 |
投稿日 | : 2007/05/03(Thu) 15:14 |
投稿者 | : 太田述正 |
コラム#1755(2007.5.3)「米国とは何か(続々)(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。 ・・ 大方のイギリス人は、古代「ローマは、巨大で、一枚岩の独裁体制であって、いやがる人々にその意思を押し付け、どのように生きるか、何をしゃべり、何を信仰するかを指示した<ところの、>ナチスのごときものと見て」います・・。 これは、少しローマに対して厳しすぎる見方ですが、塩野七生(1937年〜)・・は、そんなローマに惚れ込み、「人類の歴史のなかで、なぜローマのみが、民族、文化、宗教の違いを超えた《普遍帝国》を作り上げることができたのか−。」という問題意識の下、大長編歴史エッセー『ローマ人の物語』を書き上げた・・というのですから、まことに奇特なことです。 ・・ 私の問題意識は、よくご承知のように、日本が、グローバルスタンダード文明であるアングロサクソン文明とどう関わっていくべきか、であり、そのためにアングロサクソン文明とは何かを理解したい、というものです。 アングロサクソン文明を理解するためには、アンチ・アングロサクソン文明とも言うべき、欧州文明についてもそれなりに知らなければなりません。 また、そうしないと、アングロサクソン文明を主、欧州文明を従とする両文明のキメラであると私が考えているところの、米国「文明」を理解することもできない、と思っているのです。 ですから私は、ローマについては、そのローマが国教としたキリスト教についてと同様、欧州文明についてより深く知るよすがになればよい、という程度の関心しか持っていません。 そんな私が、塩野の『ローマ人の物語』の初巻の『ローマは一日にして成らず』を文庫本・・で読む機会があったのですが、案の定、あまり面白くありませんでした。 ・・ 米国建国の父達が、帝政ローマならぬ共和制ローマ(the Roman republic)に強い影響を受けていたことは、共和制ローマ(と帝政ローマ)の国章として用いられた鷲を米国の国章とした・・こと、1792〜93年に、主要政党として共和党が創立されたことや1788年に発効した米国憲法の第9条に「各州に共和的政体・・を保証する」という規定(注2)が設けられたこと・・のほか、 同じく憲法において、元老院(senate)、拒否権(veto)、総督(governor=州知事)、といった共和制ローマの政治制度由来の言葉を多数採用した・・こと等から明らかです。 ・・
(続く)
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