タイトル | : コラム#1771(未公開)のポイント |
記事No | : 393 |
投稿日 | : 2007/05/17(Thu) 23:19 |
投稿者 | : 太田述正 |
コラム#1771(2007.5.17)「米国で今何が起こっているか(その1)」のさわりの部分をご紹介しておきます。 ・・ イラクの泥沼化した状況が、米国内に大きなインパクトを与えつつあります。 その一端をお伝えしましょう。
<まず、>内部からの米軍上層部批判<についてです。> ・・ 米軍の少佐や中佐の多くは、・・対イラク戦の上級司令官達が、現実を把握するのが遅く、かつ楽観的すぎることについて、陰で怒りとフラストレーションを表明してきました ・・ そこへ、4月27日、ついに公然たる批判が出現したのです。 イラクのタルアファー・・という都市に駐留している第3装甲騎兵の副連隊長であるインリン(Paul Yingling)中佐による、・・将軍達を真っ向から批判した論考の発表です。 この装甲騎兵連隊は、ブッシュ大統領がわざわざ言及したことがあり、現在バグダッドで展開されている治安作戦の模範となっただけに、インリン論考の衝撃は大きいものがありました。 ・・ インリンは、現在の米国の将軍達は、人文・社会科学や外国語を身につけている者が少ないというのでは今時プロの軍人とは言えないし、彼らは責任感や創造力も欠如していると指摘します。 だからこそ、第一に、彼らは1990年代を通じて、ゲリラ的な敵に対処するための方策を考え、準備することを怠り、第二に、対イラク戦が始まる前に、イラクに即して十分な検討を行うことを怠り、第三に、大統領に対し、フセイン政権打倒後にどんな困難が待ち受けているかを全く説明しなかった、というのです。 結局、ロクな計画もないまま、しかも兵力不足でイラクに乗り込み、不穏分子の跳梁を許した挙げ句、常に不穏分子の力を過小評価する一方でイラク政府やイラク治安部隊の能力を過大評価するとともに、一般住民の死傷数を常に過小に発表する等米国民にイラクの治安状況を正確に提供することにも失敗した、とインリンは将軍達を批判します。 ・・ そして、インリンは、将軍に昇任させるにあたっては、若手の士官達の意見も聞け、と提案します。若手の士官達は、実際の戦場で誤った戦術がもたらす弊害に直面することから、その誤った戦術を最初に是正せざるをえない立場にあり、革新的で柔軟性がある将軍候補者を推すであろうからです。 更に彼は、ダメ将軍は交替させられ、降格させられるべきであると提案します・・。 ・・ インリンは、将軍達の人事に米上院がもっと関与の度合いを強めるべきであるとも提案するのです。
米軍内に漲っている下克上の気運がひしひしと伝わってきますね。
(続く)
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