スタンフォード大学
私の最初の留学先がスタンフォード大学になったのは、偶然の所産です。人事院の制度による留学だったのですが、何を専攻してもよいことから、MBAを目指すことにしたところ、スタンフォード大学に著名なビジネススクールがあったというわけです。
不思議なことに、現在に至るまで、防衛庁キャリアの中で、MBAを持っているのは私だけです。米国では軍人でMBAを持っている人はめずらしくありません。
スタンフォードに行ってみると、環境が素晴らしいこともあり、独身生活を謳歌する一方、勉学意欲が猛烈に湧いて来て、政治学科にも籍を置くことになりました。
鳩山由紀夫さんも、同時期、学者の卵としてスタンフォードに留学されていました。あちらは、既に超有名人でしたが、キャンパスで出会うことはありませんでした。その後、このような形で再びご縁ができるとは、当時は夢にも思いませんでした。
スタンフォード大学の中でも、私が主として在籍したビジネス・スクールは、独特の雰囲気があり、当時のディーン(スクール長)はビジネス界出身でした。
ビジネススクールの思い出を一つ。授業が終わって隣の部屋を覗いてみると、講師を囲んで小集会が開かれていました。何となく立ち止まって様子を見ていたところ、講師はビジネススクールのOBで、話のテーマは、「果たしてMBAは天国に行けるか」であり、聴衆は深刻な顔をして話に聞き入っていました。キリスト教とアメリカ人について、改めて考えさせられました。
政治学科では、比較政治学の泰斗、アーモンド教授の謦咳に接することができたこと、日系アメリカ人のイケ教授のマンツーマンの指導を受けることができたことが収穫でした。