三重県四日市市
四日市は、三重県で、県庁所在地の津をしのぐ、最大の都会です。
しかし、私が物心がつきはじめた1950年代中頃は、中心街からちょっとそれると田園風景が広がっていました。ですから、私は都会っ子としての環境と田舎の子としての環境を二つながら満喫できるという幸せな幼年時代を送ったことになります。
私が育った家では庭でにわとりが飼われており、にわとりが生むたまごを毎日のように食し、時にそのにわとりそのものが食卓にのぼったものです。風呂はまだマキで炊いていました。
川でおぼれながら海に向かって流されていくところを、たまたま通りかかった人に助けられて九死に一生を得たり、近くの石屋さんの庭で駆け回って遊んでいる時に積んであった石と石の間に足が入ってしまい、足の親指の生爪をはがしてしまって、大騒ぎになったこともありました。
既に亡くなっている父と母ですが、若くて元気だった当時の二人の懐かしいおもかげが突然、脳裏をよぎったりします。小学校1年生の時に四日市を離れてからは、なかなか再訪する機会もありませんが、ふるさとのことを忘れたことはありません。