守屋武昌と天下り談合利権

第208回:2007年11月04日 放送 視聴率:14.7%
司会: やしきたかじん、辛坊治郎
パネラー:三宅久之、志方俊之、勝谷誠彦、宮崎哲弥、橋下徹、桂ざこば、安藤和津、上地雄輔
ゲスト:太田述正(元防衛庁審議官)

たかじんのそこまで言って委員会まとめ

政治家は業者に斡旋利得しないと選挙で落選する

堀江 こんにちは(関根「こんにちは」)、木曜日の「ムーブ」です。防衛省を巡る数々の問題が噴出して大騒ぎになっているわけなんですけれども、今日は、防衛省の中のことを、「隅から隅まで全部知っている!」という方に来て頂きました。最近あちこちのテレビでお馴染みかも知れません。

関根 そうですね。

堀江 元仙台防衛施設局長の、太田述正さんです。よろしくお願いいたします(関根「よろしくお願いいたします」)。太田さんブログなどによりますと、「今日は生放送初めてで、命懸けで来た」なんていう・・・どういう「命懸け」なんでしょう?(笑いつつの発言)

太田 いや、それは私だけじゃなくて局側にとっても、そういう意味ですよ?(堀江 笑い)

関根 刺し返されましたね。(笑いつつの発言)

堀江 ちょっとね。大谷さん、その、ちょっと我々も(太田のペースに)巻き込まれかけているんですけれど・・・。

大谷 「局側」って言うから、放送局なのか施設局なのかどっちの「局」かなと・・・。

堀江 なるほどなるほどなるほど。

関根 どちらにも「局」があるので。

*額賀さん大好き(続)コラム#2188にて、「いずれにせよ、私にとって初体験となる生出演は、編集されないだけに、出演者にとっても放送局にとっても命がけです。」とあるため、「放送局」が正しい。

宮崎 今更この番組が「命懸け」って、いつも(命懸けで)やっていますから。(出演者 笑い)

関根 もう、正義を貫いて頂きたいと。(太田に対する、「遠慮はいらないからどんどん喋ってほしい」といった意図か)

堀江 ちょっと、何だか開き直りが出ましたね今の。

大谷 怖いね、この人(太田・宮崎どちらのことか不明)の言うことは。(笑いつつの発言)

堀江 では!その太田さんなんですが、どういう人なのかじっくりと見て頂くところ(という段取り)なので、VTRに簡単にまとめました。

関根 ご覧ください。

<VTRスタート>

太田(VTR) 「誰かが本当のことを言わなければいけない」、という気持ちがかなり前からありまして。何よりも守屋自身がですね、喋ってくれるんじゃないかと、証言してくれるんじゃないかという、強い期待感を私は持っています。

上田 「防衛省の天皇」と言われた守屋元事務次官を呼び捨てにする男、太田述正元仙台防衛施設局長。守屋氏とは防衛庁に同期で入庁。立場こそ違ったが、闇深き防衛スキャンダルを数多く見てきたという点では、守屋氏に引けを取らない。そんな太田氏が、守屋氏の証人喚問を見て全てを明かすことを決意した。額賀大臣の口利き・・・。

取材記者(VTR) 「口利きをした」という報道があるんですけれども・・・。

額賀(VTR) 全くありません。

上田 そして、国会議員の実名を記した、「斡旋利得議員等リスト」。防衛省を巡る闇とは、一体どれほど深いのか、今日は全てを語って頂きます。

<VTR終了>

堀江 そういうことで、太田さんよろしくお願いします。宮崎さんと橋下さんは以前別の番組で、「ナントカ委員会」(「たかじんのそこまで言って委員会」)みたいなところでご一緒になったんですよね。

橋下 二度、ご一緒させてもらいました。

堀江 橋下さんはどんな印象ですか?太田さんについて。

橋下 もうね、官僚の方の切り返しというか、説明の仕方は、こういうものなんだなと、本当に上手く、上手~くかわされたなという感じがして。まあそれも、ずっと長年培われてきたノウハウだと思うんですけど。

堀江 今日はかわされないようにしたら良いんですよ。

関根 本当に聞きたいことをどんどん・・・。

橋下 あの番組とは違いますから、素直に質問もさせて頂きます。(笑いつつの発言)

堀江 宮崎さんはどういう・・・。

宮崎 私は「そこまで言って委員会」で、第一回の時(2007月10月28日放送回)に感嘆した通り、頭の良い人だと、頭が良過ぎてみんなが馬鹿に見えると。それを隠さないので、「この人はどういう人なんだろう!?」と思われてしまう。(時折笑いつつの発言)

堀江 我々もよく分からない世界のことなのであれなんですけれども、宮崎さん、(太田が)お話しされている中身の信憑性、これはいかがですか?

宮崎 私は、この人は嘘をつく人ではないと思います。

堀江 なるほど。ではじっくりと伺ってまいります。利権の話などは後ほどなんですけれども、まずは守屋さんを「守屋」と呼び捨てる、この、守屋さんと太田さん、どういう関係なのかを見てみます。

上田 (パネルを使っての説明)本日ゲストの太田述正さんは、元仙台防衛施設局長です。1949年(生まれ、)三重県出身で、 日比谷高校卒業後、東京大学法学部に入学します。一方の守屋さんなんですが、1944年(生まれ、)宮城県出身ということなので、(太田よりも)5歳年上ということになります。仙台第一高校卒業、東北大学法学部を卒業し、いったん日本通運に入社するんですが、こちらは半年で退社しています。お二人は1971年、同期として防衛庁に入庁します。それからの二人の歩みなんですが、まず、太田さんは1985年、会計課予算決算班長で、この時(防衛予算の対)GNP比が1%を突破しています。同じころ守屋さんなんですが、86年、大阪防衛施設局の部長になっています。そして95年には防衛審議官で、沖縄普天間基地移設の交渉を行いました。一方、太田さんは94年に防衛大総務部長、98年に防衛審議官となります。そして1999年、太田さんが仙台防衛施設局長の時に、当時防衛庁の官房長だった守屋さんから、額賀大臣の口利きをされたということなんです。2001年に太田さんは退官。その後、参院選に出るんですがこちらは落選。一方守屋さんは2003年、防衛事務次官となり小泉・安倍政権で4年間在任して、今年退官しています。

堀江 太田さん、年齢的にはちょっと違うんですれけれども(守屋と)同期入庁。若干最後のところまでの間で歩みが違いますけれども、向こうの方が出世しているわけですよね、はっきりとね。どこがどう違うんですか?

太田 どこがどう違うと言っても、もともとずいぶん年齢差がありますからね。(守屋は)たいへん大人びた印象で、したがって、あまり個人的な付き合いっていうのはなかったんですけどね。しかし、仲が悪い方じゃなくて、結構良かったと思いますけどね。

堀江 結構仲は良かった。で、「向こうは上手いこと出世していったな」っていう感じは、どうですか?ありますか?

太田 う~ん・・・何と言いますかね、いや、そういうことも大いにあり得ることではないですかね。

橋下 中央省庁での出世というか、それには政治家との付き合いというのは、やっぱり重要なんですかね?政治家の後押しというのは・・・。

太田 重要なんでしょうね。私なんか、何と言いますかね、割とその、「如才がない」んじゃなくて有る方だったということも(出世のスピードに関係)あると思うんですよね。

*じょさい 【如在/如才】気を使わずに、いい加減にすること。十分な配慮をせず、手抜かりがあること。また、そのさま。
*じょさいない 【如才無い】気がきいて人をそらさない。行き届いていて愛想がよい。如才が無い。

大谷 あの、要するに庁内の出世争いの中で、守屋さんっていうのは次々と敵対者を追い落としていった、というような報道があるわけですけども、そうだとすると太田さんなんかはですね、日比谷高校・東大法学部(卒)で、若くして入庁しているとなれば、守屋さんにとっては最も、「敵だ!」って、敵対されたんじゃないんですかね?

太田 いやそういう感じは全然ないし、彼もそういう感じで私に対応したっていうことはないと思いますよ。若いころはね、(守屋は)たいへん謙虚な人間で、と言うか当時は(その守屋の謙虚さは、単なるポーズではないかと)疑っていたんですけれども。というのは、ポストを変わるごとにですね、私と(廊下で)すれ違ったりすると、「いや、今度のポスト、俺に務まるかな?」って言うんですよ、毎回。

関根 弱音を吐くんですか?

太田 ええ、その都度私は「大丈夫に決まっているじゃないか」と言ってきたんですね。それは一種のポーズなのかなっていう気がしていたんだけれども、どうも今改めて振り返ってみると、本心そうだったんじゃないですかね。

堀江 へえ~。でも、出世していくわけですよね?やっぱりそこには防衛庁にとって、(現在は)防衛省になるわけですけれども、なくてはならない人材になる。そこにはこう、お金の問題とかいろいろありますし、出てきている問題が一杯ある。こういうのを上手いこと身につけていく方法を持ってたってことでしょうか?

太田 私が「如才があり過ぎた」って言いますかね、結局政治家の方なんかとも、青っぽい議論をするのを好んでおりましてね。まあその、そもそも論とか、集団的(自衛権)の話とかね。そういう・・・

堀江 ああ、なるほどね。「日本の防衛とはどうあるべきか?」と。

太田 そうそう、そういうものにあまり関心がないものですから、政治家の方は。

堀江 政治家がないんですか!?

太田 (政治家と防衛官僚の間では、)大体、「この予算をお願いします」とか、「こういう新しい自衛官の手当てを、ぜひお願いします」とか(いう類の、予算がらみの陳情についての会話しかされない)。

大谷 なるほどね。根源的な「日本の防衛はどうあるべきか?」なんてこと、あんまり考えない。

太田 ええ。

堀江 じゃあ、そういうことをあんまり考えない人の方が出世しちゃうんですか?

太田 分かりません。それから二世議員が多いですよね。防衛庁に来る政務次官とか大臣もそうなんですけれども、やっぱり社会人として、率直に申し上げて、未熟なね?「未熟なお前が何を言うか!」って怒られそうだけれども。そういう方が多くてですね、だからそういう方々に、何と言いますかね、上手く愛想を振っていくって言いますか、そういうことを私はあまり得手と(しなかったことも、出世に影響したのではないかと思う)・・・

堀江 なるほど。如才がある人とない人の差があるのかも知れない、と。さあ、このあたり、お知らせの後から、「命懸け」が始まります。

上田 永田町を戦々恐々とさせる日記。太田元施設局長が一年八カ月の間記録し続けたそれは、丁寧に、そして驚くほど詳細に書かれている。そこから明らかになった口利き疑惑。政治家と官僚の繋がりの深さが露わになった。元防衛官僚が明かす、口利きの実態、そして「実名リスト」とは・・・。

<VTR終わり>

堀江 口利きの実態について、具体的にうかがって参りますけれども、ここからはウェブコメンテーターのお一人の勝谷雅彦さん、電話で繋がってまして、勝谷さん、こんにちは。(勝谷「こんにちは」)どんなことを太田さんに聞きたいですか?

勝谷(電話) あのね、今この太田さん、ああやって記者会見して話題になったけども、実はその前の他局の某番組で、僕が太田さんに「仙台にいたとき(口利きしていた政治家は)いなかったの?」って迫ったのが切っ掛けだったんですよ。

堀江 仙台で口利きがなかったのか。

勝谷 その時太田さんは、議員の名前までは出してくれなかったの。非常に悔しい。まずその辺、恨み節から始まりたいと・・・。(堀江 笑い)

堀江 「あの時に名前出してくれよ」と、なるほど。

勝谷 その「ナントカ委員会」では出なかったのに、国会の委員会で出そうな状況になっているんですね。(堀江 笑い)

堀江 そうですね。またいろいろと・・・電話繋ぎっ放しにしときますんで。では、全て始まりはこちらの日記でした。

関根 はい。(フリップを使っての説明))太田さんが施設局長だった時代ですね、99年の8月から2001年の3月の在職中、約1500ページに及ぶ日記をパソコンに残していたそうなんですね。

堀江 詳細ですよね。

関根 はい。その日記の中には、時刻や面会者の氏名、やり取りなど、詳細に書かれていたということなんです。で、今回暴露した理由について、太田さんは、「証人喚問を見ていて、守屋氏が「太田、話していいよ」と言っているように感じた」ということなんですね。

堀江 あれはサインだと?どこの部分ですか?

太田 いやあ、まずお二人の政治家の名前を出したということですよね。久間さんと額賀さんですね。久間さんについては、どうしてお名前を出したのかということについて、説明らしきことを、実は語っているわけですけれども、他方額賀さんについては、何も語らなかったと。ただ、別の文脈の中でですね、「政治家からの口利きがありましたか?」と問われた時にですね、みんな「山田洋行の話だから装備の話だ」っていう、そういう感じで見ていたと思うんですけども、急に「施設について」って言いだしたんですね。で、「政治家の方からですね、「どうも業者さん、入札に参加したいんだけれども、一体その、どこに行ったら良いんでしょうか?」と、そういうような問い合わせが有りました」と、とまで言ったんですね。そうすると、いわゆる口利き寸前のところまで、守屋は喋ったわけです。

堀江 もう喋った、あの時点で。はあ、なるほど、それでピンと来た?

太田 ええ、それで「その先は太田、よろしく」と言っているように、私は勝手に受け止めたんですけれどね。

堀江 で、今に至るということなんですね。

大谷 つまり、装備じゃなくて施設だから、「太田、施設局長だっただろう?」と。

堀江 なるほど、そういうことですね。で、太田さんが暴露した口利き疑惑についてから行きましょう。

上田 (パネルを使っての説明)太田さんが仙台防衛施設局長だった時なんですが、1999年です。額賀、当時の官房副長官から山形県内の建設会社について、「施設局発注工事の入札の指名に入れて欲しい」と、当時の守屋官房長と酒井建設部長を通じて、口利きがあったと言うんです。そしてこの時には、この建設会社については指名出来なかったんですが、翌年の2000年にも同じような口利きがあったと言うんです。そしてその際、「額賀氏から、「口添えをしているのに、動きが遅い」とクレームがあった」と酒井建設部長から話があった。そしてこのクレームを12日後にこの建設会社の役員二人が挨拶に来て、「額賀氏の秘書から、「顔を出せ」と言われた」と話したと言うんです。

堀江 「この話だぞ」とピンと来たわけですか?

太田 そうですね。あ、ちょっと今、説明で間違っているのは、最初の口利きの時私はまだ赴任しておりませんでね、それは後で知ったわけですけれども。

堀江 そうすると、2000年の時に、「前にあの話をあんときにしたのに、動きが遅いじゃないか」とクレームが来た。そこから携わっているわけですね。

大谷 二回やったわけではなくて、「あの話はどうなってんだ!」と言ってきたんですね?

堀江 「この話を暴露しろ」っていう風に証人喚問を見てて思った、こういうことですか?

太田 正確に言うとね、おそらく額賀さんは・・・いや、そもそも珍しいんですよ。要するに、(額賀は)東北管外の方なんですね。

堀江 東北の選挙区の人じゃない。

太田 ええ、選挙区が茨城県ですからね。そういう例がまず珍しかったということと、逆にその、多分・・・だから仙台だけじゃなくて、全国にいくつも局がありますけども、全国ベースでそういうことをやっておられたんじゃないかという風に想像される訳です。

堀江 なるほど。決してこれは初めてじゃないだろうし・・・。

太田 ええ。ですから守屋としてはですね、一般論として口利きってのがあってですね、皆さんおやりになっているんですけど、いささか度が過ぎると、ちょっと度が過ぎた守屋(「額賀」の言い間違いか)が・・・

堀江 みんなやってるけど(額賀は)ちょっと度が過ぎると。(笑いつつの発言)

太田 そういう風に感じていたんじゃないかと、私は思うんです。

橋下 口利きのその内容っていうのは、もうちょっと具体的に言うと、どういうことなんですか?業者が入りもしないようなところを無理矢理入れてくれとか、そういう内容なんですか?

太田 いや、そういうのはまた珍しいのであって、基本的にはですね、それまであんまり防衛省・・当時は防衛庁ですけども・・と、ご縁がなかった業者さんを紹介して、「よろしく」と・・・。

堀江 「新しいところに入れてくれ」と、こういうことですよね。

橋下 まだこの当時は、斡旋利得処罰法ってのがなかったので、不正な口利きじゃないと、斡旋収賄罪にならないんですよね。単なる口利き・・・

大谷 あの当時は口利きがなかったんですよね、罰せられる。それとね、秘書が顔出したわけでしょ?太田さんのところに。来たわけですよね?秘書から言われた時に業者が来たわけですよね?

太田 そうそう。

大谷 何て言ったんですか?太田さんに。「俺のところに入れてくれ」とか、「ご挨拶だけ」とか・・・

太田 いやいや、そういうことはなかったですよ。ただ単に、何と言いますか、ご紹介がご紹介だけにですね、座って頂いて懇談をしたと。具体的な話は何も出てなかった・・・

大谷 そういう人が来た時は、やっぱり局長が必ず会うんですか?

太田 いや、別にそういうケースだけじゃなくてですね、業者の方が来られたら、大部分は表敬ですけども、もちろんお会いします。で、大体は立って名刺交換するぐらいで終わるんですけれども、しかし・・・

堀江 ホント、挨拶なのか口利きなのかというと、ちょっと難しいところですか?

太田 いや、だけど、その年のですね、正月明けに年賀挨拶に来られているんですね、同じ業者さんが。で、それからまだ何カ月も経っていない時期にまた来られて、そういうご紹介があって、「今度は年賀だ」と、単に、立って、名刺交換ぐらいですけれども、今度は懇談をした・・・。(「挨拶だけのためにそう何度も来るのはおかしい。正月明けの年賀挨拶はともかく、二度目の「挨拶」は単なる挨拶以上の意味があったのだろう」という意味)

堀江 で、こういう話は暴露されたわけなんですけれども、これについて額賀大臣や部下の酒井建設部長は否定をしています。ちょっとお聞きください。

<VTRスタート>

関根 七年前、建設部長を務めていた酒井氏は・・・。

酒井(VTR) 七年以上も前だっていうことでですね、全く確認できない状態でございます。記憶そのものがですね、ないっていうことでですね・・・

関根 一方、額賀大臣も強固に否定しています。

額賀(VTR) 太田氏以外は全て否定をしているということでありますから、全く信頼に足るものではないと。新聞はもうちょっと、しっかりと公平に取材をし、裏付けをとって書いて頂きたいと・・・

<VTR終わり>

堀江 太田さん、部下には否定されるわ、大臣には嘘つき呼ばわりされるわ、えらいことですよね。

太田 ええ。しかしそういう風におっしゃるだろうと思っておりましたので。ただ、今出ませんでしたけども、業者さんも、実は否定されていてですね、私のところに来たということも否定されているんですけれども。

堀江 でもそれについて、例えば、名誉棄損になるみたいな話にはなっていないんですか?向こうから何か言ってきたというような・・・

太田 いや、それは大いに歓迎するところなんですけれども・・・。

堀江 ですよね。さあ、そこですよ。勝谷さん、どうですか?

勝谷(電話) 非常に面白いなと思ったのはね、前回ある番組で太田さんと話した時に、当然、口を利いたのは地元の議員だと思ったわけですよ、仙台のね。「地元の国会議員ですか?」って(太田に質問した)。これまあスケベ心もあってボクは「ある程度名前が特定出来るな」と思っていたら、「いや、そうじゃない」と。「そういうルートではないんだよ」と、そういうことだったんですよ。つまり、全然違う選挙区の国会議員が口を利いてくるということは、それはまさに自分の防衛利権を行使していることに他ならないわけですよ。それが一番の問題ですね。だからそうじゃないと、防衛利権以外に繋がりがないわけですもん、太田さんと額賀さんのね。それで、今日、午前中、太田さんはですね、民主党の外交防衛部会に出ておられたんですけれども、そこで「政治家から口利きがあると、施設局の建設部で事務的に指名業者に加える処理をしていた」とおっしゃっているんですよね。

堀江 もう一回言って下さい。

勝谷 つまり政治家から口利きがあると、もう面倒くさいから、施設局の建設部では、「はいはい分かりました」と。その(聞き取れず)言ってきた業者を事務的に指名業者に加えるという処理をしていたと、言っているわけですよ。これは事実ですか?つまり、言ってきたら今回のケースだけじゃなくて、指名業者にどんどん加えていったわけですか?額賀さんに限らず、政治家から口利きがあると。

太田 額賀さん絡みの話があった後ですけれども、私が赴任してからですね、どういう・どれぐらい口利きがあったのかということで、リストを作成してもらったことがあるんですけれどもね。建設部と施設部と両方あるんですけれども、全部で見るとですね、一か月一件強ぐらいのペースで口利きがある事が分かりました。

大谷 で、それはちゃんと、(口利きが)あった途端にもう、指名業者の中に入れてらしたんですか?

太田 そういう議論をしたわけじゃなくて、リストを見た私の、まあ、解釈なんですけどね。額賀さんのケースもそうだったんだけれども、資格要件を満たしてないようなケースを除けばですね、基本的にみんな指名には入れていたということです。で、これは仙台局がそうやっているということじゃなくて、おそらくこれは全国ベースでやっていたんだろうと・・・。

発言者不明 そうでしょうね、なるほど。

橋下 じゃあ、もともと指名でなかったものをどんどん指名にしていたと・・・。

太田 「指名でなかった」って言うか、本来どこを指名するかっていうのは、諸々のことを考えながら、当時は局の、各局の裁量で持って決めるんですけどね。

堀江 その後新たに暴露されたのは、この「口利きリスト」というもので、ちょっとお名前は伏せさせてもらっているんですけれども、これを詳しく行きましょう。上田さんです。

上田 (パネルを使っての説明)「斡旋利得議員等リスト」というものなんですが、ここには元防衛官僚、県議会議員、元職も含む国会議員の14人が実名で記載されています。その内、国会議員は10人なんですが、こちらなんですけれども、黒塗りされているとこには全て名前が入っています。実はこれについては防衛省も調査をしていて、石破防衛大臣は、「国会議員等から照会や陳情はあったものの、相当年数経過しており、具体的な事実は確認できない」としているんです。しかし、ANNが取材したところ、浜田靖一元防衛政務次官の事務所は、「陳情の一環として調査を依頼した」。元国土庁長官の伊藤公介事務所は、「業者からの相談で進捗状況を問い合わせた」。元農林水産大臣の田名部匡省事務所は、「地元からの相談で現状を確認した」。問い合わせや確認などはしたんですが、口利きについては否定をしています。

堀江 「問い合わせ」と口利きの差が分かんないんです。

太田 ま、同じでしょうね、それは。

堀江 同じですか?

太田 ええ、受ける側では口利きをされたものとして受け止めていたはずですよ。

橋下 だからホントこれね、ものすごく問題なのは、今これ「斡旋利得議員」という風になっていますけれども、口利きと問い合わせとか、境界がはっきりしないわけなんですよね?だからこそ、斡旋利得処罰法という新しい法律が出来た中で、その口利きと議員が何か利益を得たか、これが結び付いた時に初めて処罰になるわけでね、利益を受けてなければ、ボク、政治家としては業者の紹介をするとか、行政の方に働きかけをするとか、それは政治家の仕事だとは思うんですよ。だからそこ、利益が結び付いていたからということで、これはでも太田さんが確認されたわけじゃないですよね?

宮崎 業者側から便宜供与があったかどうかが非常に重要なポイントなわけですよ。

橋下 そうそう。

堀江 でもなかなか政治家と業者が繋がる機会ってないでしょうからね。

太田 なお、この「斡旋利得議員等リスト」というのは、私が茶目っ気があってですね、自分で勝手に・・・

橋下 あ、自分が勝手に。それがだから、ちょっと独り歩きしているところがあるんですよね。

太田 そんな名前のリストがあるわけじゃないですよ。

大谷 「斡旋利得罪議員」ではないわけだね。

橋下 だからそうなると、「斡旋利得議員」って、何となく不正なことやっているように見えますけれど、もし何にも利益を受けてなくて、政治家が間に入っているだけだと、それは政治家の仕事になっちゃうんじゃないのかな。

大谷 ただし、政治家が何の利益も得ずに動くかどうかという問題も・・・

橋下 いや、ただそれは通常の政治献金の範囲内だから、結局・・・

太田 これが大事なポイントはですね、「そういう事実があった」という風に言っておられるのは、全て施設部の話なんです。基本的に土地を買ってほしいっていう話なんです。私は別にそういうことについて、それを口利きと言うかどうかは別にして、いろいろ政治家の方が紹介されるというのは、それはやっても良いんじゃないかと。ところが、建築とか土木工事についてはですね、そっちの建設部マターについては誰一人、「そういうことをやりました」と、「そういう事実がありました」と、言っている人が居ないわけですよ。居ないということは、どうも、ややその、「皆さんやましいところがあるんでしょう?」と、そういうことだと思うんですよね。

大谷 だって、政治家が言ってきただけで指名業者に入れてもらえるということは、利益があろうとなかろうと、入らなければ何にもならないわけですから、それは明らかにですね、大きいんでしょう。

太田 そう。それにその、実はというか、これは一般常識に近いんだけれども、もともと談合が広範に行われているわけですから、一度指名されたということは、しかも、「どうも官側の事情で指名されたらしい」ということであればですね、談合を取り仕切っている人が、次にまた、その業者が指名されてくればですね、配慮するはずなんですね。

大谷 一目置くわな。

太田 ただこの業者の場合は、最終的には12月に指名されたようなんだけれど、落札していないんですけれどね。で、そのあとどうも、全然鳴かず飛ばずのようですけれども、もう談合が崩れつつある時期だったんですね。だからその、「お可哀そうに」と言うしかないですよね。(太田 笑い)

宮崎 これは太田さんね、官の側がこういう政治家の圧力というか、口利きのようなことに応じるというのは、やっぱり官の側にも、例えば再就職、まあ天下りみたいなことがあるからなんですか?

太田 実は私は、さすがにそこまでは全然分からなかったんですけれども、昨年、官製談合をやっていたということが明らかになったわけですね、施設庁全体で。で、官製談合っていうのはどういうことかっていうと、業者に天下りを受け入れてもらって、その見返りにそれに対応するって言いますかね、まあ、取引なんだけれども、要するに受注させるわけです。それが官製談合なんです。で、政治家が口利きをされる建築とか土木事業に関与したい業者さんっていうのは、天下りを受け入れたこともなければ、大体は中小のですね、将来とも天下りを受け入れそうもない、受け入れて頂かなくてもいいというか、そういう業者さんが多いわけですよ。

宮崎 なるほど、だから政治家に頼るんだ。

大谷 だから政治家を使うわけですね。

太田 ええ。ただし、「だから指名までよ」と。受注までさせたってですね、官側に何のメリットもないわけですよ。(太田 笑い)ですから、指名まですればですね、政治家に対してその・・・

大谷 義理が立つわけだ。「後はご自分でおやりなさい」と。

太田 そうそう、そういうことですよ。で、「ご自分」っていうのにもからくりがあってですね、かつては、要するに談合がほとんど官が噛まない形の談合だったんだから、それは将来(業者にとって)良いことがあるはずだと。 (「一般競争入札と違い、指名競争入札の場合は、民間の仕切り屋が仕切る伝統的な談合(カルテル)で価格・落札者が決まるため、指名されることでその談合の輪に入れるとすれば(政治家の口利きがあったと知れば、仕切り屋としても政治家を敵に回すことは避けたいので、無視はできない)、たとえ受注できなかった場合でも、指名のメリットは大きい」という意味)

大谷 おいしいことがあるかも知れない。

堀江 勝谷さんお待たせしました。何かありますか?

勝谷(電話) この構図はですね、まさに中央で行われたゼネラルエレクトロニック社のエンジンを巡る山田ミライズ(「山田洋行」あるいは「日本ミライズ」の間違い)の構図と全く同じなんですよね。つまり、山田ミライズというのは独特の会社で、実績がないわけですよ。だから(聞き取れず)みたいなもんですよね。それが防衛省と政治的な取引を出来るということ自体がが大きいわけですよ。違いますかね、太田さん?

太田 そうですね、私は装備畑に居なかったんで、あまり権威のあるお答えは出来ないんですけれども、まあ、そういうことだと思いますけどね。

勝谷(電話) ちょっと太田さんに聞きたいのはね、太田さんご本人にはそういう天下りの口って来なかったの?

太田 いや、私は随分若い頃から、絶対に天下りはしないって決めておりましたので。(勝谷 笑い)

宮崎 あのね、このリストが出ている日記のところに、建設企画庁が来訪して、再就職システムの話を聞くという記述が出て参りますが、この時に、昨今、非常に話題になっているパシフィックコンサルタンツインターナショナルの幹部、しかも一人は防衛庁OBの方と幹部の方がお出でになって話に加われたという記述がありますけれども、これはどういう話をされたんですか?

太田 いや、全くもう記憶にないですね。それこそ、日記に書いてあること以上の・・・

宮崎 パシフィックコンサルタンツという・・・

太田 なんかそういう名刺を持った方が来られたような記憶はあるんだけれども・・・

宮崎 防衛庁OBというのは、かなり天下り・・・

太田 いや、毎日、何組も来られる・・・

堀江 そういうことらしいですね。

大谷 最後に一つ。守屋さんは、太田さんと一緒で、「政治家にもう、頭きた!」と、「こんな連中に、今まで何で俺、言うこと聞いてきたのか!」という思いから言ったのか、「もうここまで来たら道連れにしてやろう」と。守屋さんと太田さんって、やっぱり政治家にはかなり頭きているわけですか?「何だこいつら!」と?

太田 うーん、ちょっと次元の違う形で政治家の方々に対して・・・というか私は別に政治家の方々に含むところはないんですよ、彼らも被害者だと思っていますからね。口利きしなかったら落選するんですから。守屋も含むところがあるんだけれども、それはまた、私は単なる私憤だとは思わないです。多分、公憤なんだと思います。私と全く別の意味で。つまり、「やり過ぎだ!」と。(太田 笑い)そういう形の公憤だと思います。

大谷 ってことは守屋さんは、政治家は許せないけど、二人出したと。

太田 ええまあ、普通はその範囲のことを政治家がおやりになるのは良いんだけれど、いささかやり過ぎな方については、含むところがあると。

堀江 あの、時間が随分、生放送なんでどんどん経過していってしまうんですけれども、生放送いかがですか?

太田 いやあ、たいへん結構ですね。

堀江 またいらしてください、ありがとうございました。