タイトル | : Re^3: 戦闘機論争を纏めて見ました |
投稿日 | : 2007/06/15(Fri) 07:12 |
投稿者 | : バグってハニー |
私とJSF氏の意見はほぼ一致していると思います。先生はまだ異論があるようですが...。もう一度、JSF氏のサイトを冷静に読めば何がおかしいのかにそのうち気付くと思います。
今までの繰り返しにしかならないですが...、
> 航空自衛隊とイギリス空軍が戦闘を行った場合、航空自衛隊の圧勝に終わります。
私はこれまで一貫して数の多寡を議論してきました。「劣勢」というのももちろん数においてという意味です。戦闘の優劣が兵器の数だけでは決まらないことは承知しております。私がNo.712でミリタリーバランスの注釈の一文
> スクアドロン(飛行中隊)の強さは運用されている航空機、国によって異なる。
をわざわざ引用したのはそのこと(ミリタリーバランスの数の引用の限界)を示すためです。だからといって太田氏の単純な数による日英の戦力比較に意味がないとは考えていません。
> そして戦闘機と戦闘用航空機は意味が違います。
最初の投稿No.714以来、私は一貫して
> 「戦闘機」とはFighterに対応する日本語
として用いています。もしも、私が自身の主張の中で戦闘機という用語を曖昧な意味で用いている箇所があれば指摘してください。
太田氏がミリタリーバランスだけに依拠して著述したのがおかしいという意見があるようですが、私はそうは思いません。そもそも、ミリタリーバランスは装備も運用の仕方もバラバラの各国の戦力に統一した基準を当てはめて定量的に戦力を比較する目的のもとに書かれています。二国間の戦力を比較するのにはこの上ない資料といえるでしょう。大事なことはそれを引用する者の裁量が入り込まないように必ず対応する項目を抜き出してくることではないでしょうか。その点において太田氏の引用の仕方は厳密さを欠いていたことは確かだと思います。
戦闘機の数を比較したいのであれば、一番単純なのはミリタリーバランスが戦闘機(FTR)として計上している航空機の数を抜き出してくることです。その例はすでにNo.714で示しました。太田コラム#1806ではミリタリーバランスの戦闘機の定義が示されていますが、実際にミリタリーバランスが戦闘機として計上している機種を見れば、ミリタリーバランスが言う戦闘機とは何であるのかは明確だと思います。すなわち、F.3とF-15J、制空専用の防空戦闘機です。この場合、太田氏の著作とは日英の優劣が逆転してしまいますが、私はそれでもよかったと思います。というのは、日本は制空専用戦闘機が多い代わりに、JSF氏が指摘したとおり爆撃能力のある戦闘機は英国よりも少ないからです。すなわち、これは日本の戦力が英国との比較において「歪」である一例であり、太田氏の著作の該当部分の文意は損なわれないと思うからです。
しかし、この戦闘機の定義はあまりにも狭くて一般的な用法とは必ずしも一致していないと思われます。一般大衆向けに書かれた本で制空戦闘機と戦闘攻撃機を分けて議論することはあまり生産的ではないかもしれません。そこで、次善の策として戦闘用航空機の数を比較することを私は提案しました。こちらもミリタリーバランスがその定義に従ってすでに数字を用意してくれています。また、この数字には潜在的な戦力も含まれているので、より適正な比較であるともいえます。ただし、JSF氏の言う通り、ニムロッドは戦闘機とはかけ離れていますから、それを除いて比較するというのは最も妥当だと私も思います。
ところで、
> これは防衛型の軍隊と侵攻型の軍隊の違いです。
JSF氏はこれまで太田氏にいろいろと批判を加えてこられましたが、おそらく太田氏が同書の該当部分で主張したかったのはまさしくそのことだったのだと思います。そして、さらに太田氏が主張したいのは
> 航空自衛隊とイギリス空軍が戦闘を行った場合、航空自衛隊の圧勝に終わります。
という考え方が必ずしも正しくないということだと私は思うのです。
(明日に続く)